故 竹下 賢 温泉学会 前会長

お知らせ

温泉学会会長 藤田勝利

 敬愛する竹下賢会長が2018年1月18日に急逝されました。2018年5月12日(土)に関西大学千里山キャンパスの凛風館で生前懇意にされていた友人・知人100名超が参集し、偲ぶ会が開催され、一区切りがつきましたので、謹んでお知らせいたします。 その前年3月末に関西大学を退職されて1年もたたないうちに亡くなられ、まさかと思う気持ちとともに温泉学会にとって掛け替えのない大黒柱を失ったことの衝撃はまさに断腸の思いでした。訃報に接したとき2017年2月27日の藤嶽彰英温泉学会元副会長・顧問の偲ぶ会における竹下会長の軽妙なスピーチとお元気な姿が脳裏から離れず、半信半疑でした。1月30日に急遽臨時理事会を開催し、9月の城崎温泉大会の開催準備や今後の学会運営について協議し、温泉学会に対する竹下会長のご遺志を受け継ぐことを出席理事の間で再確認いたしました。 竹下会長は2003年9月に産声を上げた温泉学会の発足時の理事で、初代の保田芳昭会長が2006年12月に他界された跡を継いで2007年9月から第二代会長として10年余り温泉学会を先導されました。初代の保田会長は、消費者運動の実践的な論客として活躍され、温泉利用者の目線で本物の温泉を遺すために学会活動に尽力されました。これに対し竹下会長は環境法哲学や環境法思想に専門的に取り組まれ、その立場から大地の恵みである温泉を環境資源として捉え、生態系の破壊が進む中で自然再生の思想を温泉に当てはめようとされました。機関誌温泉研究第5号から第13号までの巻頭言に「温泉と社会」「環境と温泉」「自然との付き合い方」「自然公園制度とジオパーク」「地震と温泉」等のタイトルで環境に対する思いを綴っておられますが、その広い学識と行動力に感心するばかりです。特に羨ましかったのは、環境というテーマのお陰か普通の法学者では体験できそうもないパプアニューギニアなどにも調査研究に行かれたことです。奇しくも保田会長と同じ71歳の若さで逝去されたのは残念でなりません。2009年に温泉学会副会長の拝命後は竹下会長とは益々親密な関係になり、温泉とお酒にまつわる話は山ほどあります。心からご冥福をお祈りいたします。

合掌