温泉学会は、2003年9月に関西大学と有馬温泉において設立総会および第1回全国大会が開催され発足した比較的新しい学会です。温泉利用者の立場から信頼に足る本物の温泉を後世に遺すことを主眼として設立され、温泉愛好家、温泉地の旅館・ホテルや市町村の関係者、人文・社会・自然科学等の研究者、ジャーナリスト、ライター、医師、弁護士など多彩な会員によって構成される自由かつオープンな学会です。2004年3月に学会誌として「温泉研究」が創刊され、毎年、温泉学会の全国大会など学会の活動状況・概要を紹介する記事や研究論文・講演・エッセイなどを掲載しております。

 温泉学会の目的は、会則3条に明記してますように、温泉に関する情報を交換し、地球環境を考慮しつつ、実際的・理論的な研究を多角的・総合的に行い、温泉への洞察を深めることにより、貴重な温泉資源の健全な維持・発展並びに人類の健康・福祉等の増進に寄与することです。その目的達成のため、会員総会および研究報告会や温泉情報交換会の開催、魅力ある全国各地の温泉の現地調査や研究、学会誌およびニュースレターなど出版物の編集・刊行、内外関連学会・研究会等との連携や交流など多様な事業を行っております。

 火山大国日本は同時に温泉資源に恵まれた温泉大国でもあり、世界に誇る日本独自の温泉文化を育んできました。ところが、近時の温泉ブームの行き過ぎから過剰なまでの日帰り温泉施設や温泉付きマンション建設による大深度掘削や温泉枯渇に伴う温泉偽装の問題、地球の温暖化に対するクリーンなエネルギー資源としての地熱発電との共存問題など温泉資源の保護や地球環境保全にかかわる社会問題が次々と出現しました。温泉学会は、これらの温泉を巡る社会問題についても適時に対応するため温泉学会の大会シンポジウム等で議論し、決議文を採択したり、温泉関連のパブリックコメントや要望書を環境省その他の関係部局に提出して意見表明するなどの活動もしてきました。これらの活動は、温泉の絡む社会問題は消費者問題でもあるという観点から、信頼に足る本物の温泉を後世に遺すことを主眼に取り組んできたものです。

 人生100年時代を迎え、健康で豊かな充実した長寿生活を送るには、心身を癒す温泉を活用することが一助となることは確かです。温泉学会の全国大会は魅力的な全国の温泉地で開催されますので、それに参加して、主として温泉愛好家からなる会員相互の交流や温泉の情報交換をすることは、有意義ではないでしょうか。大会への参加と入会を歓迎しますので、よろしくお願いたします。

以上

大阪市立大学名誉教授/弁護士
温泉学会 会長 藤田勝利

本部事務局
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甲南大学 理工学部 機能分子化学科 茶山健二研究室気付